何を思ったのか、90分間、外をウロウロと歩き回りました。
いわゆるウォーキング。
「ちょっと歩いて来る」とだけ家の者に告げ、
私はおもむろに歩き出しました。
公園、休館日の美術館、橋、建設中のマンション、斜陽に光る石の道、昔通った高校…それらがブラリブラリと私の前に現れては流れていきました。
チョロチョロ動き回っていた柴犬が、
私を見つけるとピタリとその動きを止めて、
そのままじっと私の歩き様を観察していました。
「ちょっとツレないんじゃないの?」
犬は私の背中に問いかけました。
その犬の背中を蝉の声が優しく叩いていました。
そうやって、この世界は続いていくのだ。
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