老齢のラビ、イチャクは、タルムードの勉強をしているところを、客に邪魔された。また本の前に戻って、眼鏡をさがしたが、いつものように本の間にはさんでない。そこで、彼は考えた。
毎日、本を読むときには、眼鏡をかける、やめると、眼鏡を本の間にはさむ。毎日そうするのだから、今日もそうしたにちがいない。そうしたとすれば、眼鏡は本の間になければならない。しかし、眼鏡はそこにはない。眼鏡がそこにないということは、どういうことか。そこにないということは、なくなったということだ。眼鏡がなくなったというのはどういうことだ。眼鏡がひとりでどこかに行くわけがない。とすれば、誰かが取ったにちがいない。眼鏡を取ったのは誰だろう。眼鏡を必要とするものだ。だが、眼鏡を必要とするものは、自分のをもってるはずだから、私のなぞいらない。眼鏡を必要としないものは、もちろん取るはずがない。とすると、――誰も取らなかったということになる。誰も取らなかったとすれば、眼鏡はここになければならない、だが、ここにないということは、ちゃんと見て分かっている。見て分かっているというのは――どういうことだ。眼鏡をかけなければ、私は何も見えない。だから、眼鏡がないということが見て分かっているということは――眼鏡をかけているということでなければならない。
そこで、彼は鼻に手をやった――
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COMMENT
無題
時には論理的に考える事も必要ですな。
Re:無題
いかにも難しそうな思考をしといて「それかいっ(≧д≦)ノ」って結論が出るのが笑いのポイントなんかね?
笑いって難しいわ〜
でもたまには論理的な思考もいいもんだべ★