この日は家族揃って(弟一人いませんでしたが)外に食べに出かけました。
もちろん、この日が私が日本に帰って来てから初めての家族との夕食…ということではありませんでしたが、なんとなく『おかえりパーティー』的なノリだったので、
こんな駄洒落たタイトルなんかで飾ってみました。
店に落ち着くまでに訳あっていろいろと巡ったのですが、
結果的にあるフレンチレストランに落ち着きました。
そのレストランは一戸建ての民家ぐらいの大きさでそんなに広くはありませんが、
内装・外装含めてオーナーのこだわりが感じられるシャレた店でした。
ちなみにヨーロッパ軒のお向かいにあります(笑)
とりあえずコースを頼みました。
しかも皆でバラバラのコース。
結婚式以外でこんなしっかりとしたコース料理を食べるのは初めてのような気がします。
そんなもんだから、ブラジル帰りの私にとっては、贅沢これ極まるといった感。
私の舌はその上に乗っかる物全てを「うまい」と判定せざるを得ませんでした。
いや、たぶん素直にうまかったと思います。
皆もおいしいと言ってたし。
(デザート。おもしろい皿に収まっています)
親父はオーストラリア産のワインで酔ったのか、
メインディッシュの皿が下げられる頃になって、
「よし、ラーメン食べにいくか!」
なんて訳のわからないことを言ったりして皆からブーイングを浴びたりしていました。
おいしそうな物が出て来ると、誰の注文の物だとか関係なく、
皆で少しずつ皿をつついて味見したりしました。
一般家庭における日常場面です。
そんな一連の模様を、私の中のもう一人の私が、
私の少し斜め後ろから客観的に見つめているのを、私は気付いていました。
例えようのない非現実感。
時速千キロの回想劇。
ブラジルから帰って来てから、時たまこういう瞬間に出会うのです。
おそらくブラジルでの生活とのあまりのギャップに、
私の脳がスイッチを切り替えきれていないのかもしれません。
昔ファミコンのシューティングゲームで、
画面の中に敵味方入り乱れてタマを打ちまくっていると、
ファミコンの集積回路の処理が追いつかなくなって、
画面の動きがスローモーションになりタマや敵機の動きが良く見える…
という現象を思い出しました。
それに似ています。
今私がそこにいることが信じられないのです。
夢を見ているのか、昔を思い出しているのか、どっきりカメラなのか、
何かが違う。
しかしこれは本当であり現実であると私は知っている。
だから私の中にもう一人いると感じる。
心ここに在らずなのでしょう。
それはきっと、ブラジルのあの地を、私はもう一つの居場所であると認定してしまったのだと思います。
自分遺産に登録しちゃったのでしょう。
これは日本にいる頃には想像し得なかったことでした。
私は日本が大好きで、日本臭いものに強い誇りと憧れを抱いています。
それは今も変わっていません。
しかし、それと一見矛盾するようですが、
今の私は100年前ブラジルに渡った日本移民が、そこに根を下ろし、
自分たちの骨を埋めることを許した気持ちが、少しはわかるのです。
おっと、家族パーティーの話なのになんだかNHKみたいな話になってきたので、
もうここらへんでやめときましょう(笑)
とにかく、料理はおいしく、会話は楽しく、お腹はいっぱい。
そしてフランス料理にしてはリーズナブル。
至福の時。
[0回]
PR
COMMENT