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ざっきの「初めに言葉があった」

〜日々想うことをツラツラと〜

   

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ある暑中見舞い

先日、友だちから暑中見舞いが届いた。
元気なちびっ子2人の写真の上を、
隙間を縫うようにして文章が並んでいる。
その友だちには息子が2人いる。
末文に「来年には家族がまた1人増える予定です」とあって結ばれていた。
月日が経つのは本当に早いもんだ。


その友だちと出会ったのは華の大学時代で、
人生で最もはしゃいでいた時期かもしれない。
工学系の大学だったのでとても小さな学び舎だったけれど、
私とその友だちはそれぞれ違う学科に入学していて、
お互いに仲良くなったのは大学生になって半年ほど経ってからだった。
私がアイスホッケー部で、彼がオフロードバイク部、
私が電子情報専攻で、彼が機械工学専攻、
私が奥手で、彼がモテモテ。
ほとんど共通点がなかった人と友だちになったのは、
偶然おなじアルバイトに応募したのがキッカケだった。
泣く子も黙るミスタードーナツだ。
ミスタードーナツはフランチャイズ展開しており、
富山ではいくつかの会社が店舗経営していた。
私たちが面接を申し込んだところは富山でも厳しい部類の会社だった。
なにが厳しいのかというと、細かい身だしなみや言葉遣いに始まり会釈の角度の使い分けなど、
いわゆる接客業の基本を口酸っぱく叩き込むのが主義の会社であった。
当時、校則に縛られて過ごす日々から解放されたばかりの私たちは、
意味もなく「髪を伸ばすぞ!!」と意気込んでいて、
2人とも髪を結えるほどの長髪だった。
その容姿を見た店主は雇う条件として『髪を切れ』と言って面接は終わった。
誓約書にサインするために次に本部に出向いた時は、
私たちはそれは爽やかな短髪の青年となって現れた。
今思えば、なぜあんなにあっさりとダサイ爽やか刈り上げヘアスタイルになったのか、
何がその決め手になったのか、よく覚えていない。


私たちが働こうとしていた店舗はまだ工事中だった。
まだ完成していなかったのだ。
グランドオープンまであと1ヶ月ほど。
それまでにミスドのやり方を身につけなければいけない。
私たちはその店のオープニングスタッフに申し込んでしまったのだ。
トレーニング期間中に早くも、彼はその魅力を存分に発揮していた。
彼がいるだけで空気が柔らかくなり、笑いが起こる。
本人はウケを狙っているつもりじゃないのに、笑いを取る。
その天然ぶりとジャニーズ顔負けの端整な容姿とのギャップもまた人を惹き付ける。
当然、ミスドでもすぐに人気者になり、
お客さんからラブレターを貰ってしまうハプニングまで起きるほどだった。
そんな彼も恋をした。
同じミスドにパートで来ていた年上の女性。
しかし彼に想いを寄せていたのはその女性ではなく、
同い年のバイトの短大娘2人だった。
その短大生2人はお互いに仲が良い友だちであり、
それが故にお互いの気持ちをお互いに宣言していた。
そういうそれぞれの本音や言い分を聞いてあげる役のキャスティングが
不本意にも私に任された。
となると絵に描いたようなバトルの構図ができあがり、
私はそれに巻き込まれて冗談抜きにドラマのような日々を強制的に送らさせられたものだ。
ドラマだと大抵は私のような立ち回りの登場人物もその中の誰かに想いを抱いている設定が多いが、
私の場合もまさにそれだった。
が、フィクションと違ったところは、
そのことを知っているのはごく一部の者だけだということ。
もちろん彼も知らない。
未だに。


リアルで楽しくて生き地獄のような日々の果て、
結局みな別々の幸せを見つけるに至った訳で、
その数年後に彼は同じ大学の女性と同棲を始め、
さらに数年後に結婚した。
もちろん式にも呼ばれ、何か大きな区切りがついたような気がして、
張り裂けそうな想いで彼らを祝福した。
富山にいた頃は彼の誕生日には必ず電話をかけて直接おめでとうを伝えていた。
が、それが私が福井に帰って来てからは仕事が忙しすぎたこともあって段々と疎遠になっていき、
今ではたまに思い立ってメールを送ってみても全く返って来ない状態だった。
それでも律儀にちゃんと毎年、年賀状と暑中見舞いは送ってくる。
それだけが今のお互いの繋がり。
年賀状や暑中見舞いといったものは、日頃のご無沙汰を詫びるのがその主旨の1つ。
日本文化が生んだ人間関係を豊かに紡ぐ知恵だ。
その先人の編み出した古風な計略に、
がっつりハマってやるのも悪くない。
数年ぶりに会いに行く前にとりあえずは、
この届いた便りの返事を書くとしよう。


……
…長い回想で感傷的になってしまったのだけれど、
実はこの友だち、ずっと福井に住んでるんだよねぇ(笑)

『家が近い者ほど遅刻をする』

これマーフィーの法則なり…(⌒〜⌒;A

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