なぜだか、今日、突然に頭の中に浮かんできた言葉があった。
それはある小説の中に書いてあった、
ある場面での一節だった。
『私は門をノックした。そしてもう一度ノックしてみたが、返事がなかった。
三度目のノックにも何も起こらなかった。
私はどうしてよいかわからず、心配になってきた。
……中略……
突然、門が開いて、子供が飛び出してきた。
その時やっと、私は自分のまちがいに気がついた。
その門は広い中庭に続いていて、その中庭のまわりに、
バルコニーのついた家がずらりと並んでいた。
門はあいていたのに、私はとっ手に触れようとさえしなかったのだ。』
輝きを放っているのは最後の一行。
その前に並んでいる文章は、最後の一行のためのマクラとなる。
この最後の一行が教えてくれているような失敗が起こりうる日常シーンというのは、
かなりたくさんあるんじゃないかと思う。
かと言って、私の今日の日常の中にそんな失敗が起こったという訳でもない。
たまに、こういう事がある。
昔、どこかで読んだ、普段はまったく忘れていた言葉の並びが、
突然しゅわっと頭の中に浮かんでくる、ということが。
それにしても、うーん、なんで今これが浮かんできたんだろう?
そっちの方に気をとられてしまうのだ。
門はあいているのだ。
ろうか?
なんてね。
[0回]
PR
COMMENT