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ざっきの「初めに言葉があった」

〜日々想うことをツラツラと〜

   

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カマキリ

カマキリはガラスの面に止まっていた。

人はそれを内側から観ていた。

カマキリはのぼった。

しかしそこは自然物ではないガラスの面だ。

そこいらの草をよじのぼるのとは訳が違う。

そもそも見えないではないか。

カマキリは思う。いったい何をのぼっているのか?

それでもカマキリはのぼった。

なぜかいつもより疲れる。いつもと勝手が違うのだろうか。

すごく足が疲れる。

カマキリは時々立ち止まり、

後ろ足をよいしょと前に持ってきて、

さらに前のカマでどっこいせと口元に寄せて、

なにやら口でハムハムと足をマッサージしているようだった。

しばらくのぼって、左足をハムハム、しばらくのぼって、右足をハムハム、

あ!!

滑って落ちた!!

カマキリは空中で羽を広げてうまいことホバリングして硬い地面への激突は防いだようだ。

さすがは野生の昆虫だ。鈍っちゃいない。

人はどこへいったかと心配してキョロキョロしていると、

ガラスの反対側の1番下からまたノチノチのぼってくるカマキリを見つけた。

またのぼるのかよカマキリよ。

人は思った。

人の目の高さまでくるまでに10分以上かかった。

人の目の高さでカマキリはまた自分の足をハムハムした。

そしてまだまだのぼるつもりだ。

人は思った。

さっきのようにその背中の羽で飛べば3秒か4秒かでもっと上に行けるだろうに。

なぜお前は10分以上もかけてのぼりにくいガラス面をよじのぼるのか?

さっき一度失敗したではないか?

そう人は思った。

それでもカマキリはのぼった。

カマキリの目は人よりも広い範囲を見ることができるというが、

その優れた視神経にくだらない人は写ってはいないのだろう。

人はカマキリになりたいと思った。

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